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樽見の大桜
但馬に住んで、25年。仕事場と家を往復するだけの毎日で、あまり、但馬のことを知りません。ただ、5、6年まえから、樽見の大桜のことは聞き及んでいました。山道をかなり、登る必要があるとも、聞きました。それで、ずっと、観に行けずに、ゆかしきもののままの存在でした。
 でも、ふと、出かける気持ちの余裕とふんぎりがつき、ついに、大桜を拝見しました。
桑畑の跡地に一本、花を纏ってたっていました。補強材に支えられ、痛々しさもありながら、風格を漂わせ、盛りの花はそれはそれは、うつくしいものでした。
 千年の風雪にも耐え、たち続けた樹木。
周囲の、今は草くさの生えるだけの石積みで区画された桑畑跡。人の手が入った石積みが更に、千年の歴史を際立たせ、時間とその場で営まれた人々のくらしを想いました。
木を四方からながめ、山道をくだりましたが、道を逸れた石積みの一郭で白骨が散っていました。頭蓋骨から、鹿のものと知れました。どうして死んだのかは知れませんが、山には人間だけでは無い、他の生き物たちの命の営みを垣間見せた白い骨。
 桑が捨てられて、50年は経ったでしょうか。殖蚕業の隆盛とともに、石積みが山を上へ上へと這い上がり、桜の根を痛めたことも、桑が捨てられ、今は樹木医が手当てしていることも、人の営み。
 幽玄のせかいにシテとしてあらわれ、物言うとしたら、桜はなんと、いうのだろうか、
そんなことを考えました。
 一期一会、こころにその姿をやきつけましたが、それも心もとなく、画像に残すことにしました。




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| コラム | 11:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
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